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南の島でパンを焼く@2009 その⑤ [旅 カオハガン島]

朝食後は、海へ。
カオハガンの子供たちも集まってきて、泳いだり船に登って飛び込んだり、砂に埋まってみたり。
とにかく楽しい。
スタッフが、お昼ごはんですよ、と呼びに来て、えっもうお昼!?とびっくり。

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午後3時にオギさんと、ジャクリーンと母屋に集合。
カオハガン石窯で初めてのパン焼きに挑戦。
ジャクリーンは、カオハガンハウスでキッチンシェフのアンドリンさんについて料理を担当している女の子で、お菓子作りが好きで、以前はビスコッティーを焼いたりしていた。
今回石窯ができたことで、ジャクリーンにパンやピザやお菓子作りを任せられるようにしていけたら、というのも崎山さんの思いのひとつである。

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まず、オギさんが石窯に火をいれる。
昼間、皆で島のあちこちで集めてきた木の枝やココナッツの皮を使って火をおこす。
薪をくべ、2時間ほど熱して窯の温度を上げる予定。
その間に、ジャクリーンと私で生地をこね、一次発酵、成型、二次発酵まで進め、いいタイミングで窯に入れられるように、と念入りにオギさんと打ち合わせ。
オギさんも火入れはまだ2回目で、パンを焼くのは初めてのこと。

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カオハガンの石窯。
なんというか、いい味わいの窯なのです。
ドラム缶を半分に切って、海岸で拾ってきた石や砂を積み上げ、上には海で拾ってきた貝殻がシンボルのように飾られていて。

火入れが始まると、ボゾがやってきて、石窯の前にでんと寝そべったまま動かない。
パンが大好きなボゾ。
パン焼きが始まるのがわかっているのだろうか。

カオハガン12.jpg

わくわくする火入れを見てから、ジャクリーンとキッチンでパン生地をこねる。
小麦粉やイーストは、ランダさんのところへ行って分けてもらってきた。
カオハガンでは、パンに必要な小麦粉やイーストは手に入らない。ピザのトッピングの材料なんて、もちろんのこと。別の島のマーケットに行かないとそろわないので、朝船で島を発った島民に手に入れてきてもらうようにお願いしておいた。
ピザは材料が手に入る明日に延期して、今日はまず石窯でちゃんとパンが焼けるかの確認。
ということで、まず第一回目は、あんぱんを作ることにする。

材料の分量はコップやスプーンを使って目分量。
電子秤なんて使わない島民にもとっつきやすいよう、コップで何杯、スプーンでこれくらい、水の量は生地のかたさを調節して、耳たぶくらいのかたさにね・・・とやっていく。
ジャクリーンは丁寧で、かわいい笑顔からは想像できないくらい、力が強く、しっかりこねていく。
発酵、成型、と進んでいく行程も、とまどうことなく『前見たことがあるから、大丈夫』と頼もしい。(以前順子さんと天然酵母のパンを焼いたとき、ジャクリーンはそばで見ていた。)

成型時、バックパックにしのばせてきたあんこを味見してもらうと、これはおいしい、と言ってくれる。
別のスタッフにも味見してもらったが、気に入ってくれた。
あんぱんを20個ぐらい成型し、残しておいた一部の生地でフォカッチャを作る。
平らに成型して、指で穴をぽこぽこあけ、オリーブオイルをたっぷり塗ったら、塩をぱらぱらとふりかける、私の好きなパンのひとつ。
急な思いつきで挑戦したフォカッチャ。
実は、カオハガンに思いがけないものがあったから。
それは、カオハガン・ソルト。
なんと、オギさんの指導で、今、カオハガンでは海水から塩を作っているのだ。
竹を半分に切って、そこに海水を流し、天日で乾かし・・・と。
結晶が粗くて少し茶色っぽいカオハガン・ソルトは、味が濃くて、おいしい。
オギさんから習った島民が、塩作り担当になって、毎日竹筒の面倒をちゃんと見ている。
いずれは、カオハガン・ソルトとして売ることも考えているそう。
この塩をいかしたパンが作りたくなって、フォカッチャを作ることにしたのです。

カオハガン11.jpg

5時過ぎ、いよいよ石窯にパン生地を入れることに。
ふたを開け、中の灰をかきだし、高温にあたたまったところへ、生地を入れる。
またふたをして、待つこと20分ほど。
待ちきれない朗は、ボゾと石窯の前で番をしている。
ボゾが急に顔を上げ、鼻をくんくんさせた。
ボゾどうしたの?と言いながら、石窯に近づいた朗が、『パンのいいにおいがしてるよー!!』と叫んだ。
あわてて駆けつけ、石窯のふたのあたりに鼻を近づけると、本当に、パンの焼けるあのいい香りが漂っていた。
『いけそうですねー!』オギさんもうれしそう。
ふたを開けて、天板代わりのトタン板を引き出してみると、いい色に焼きあがったあんぱんとフォカッチャが出てきた。
とうとう焼けた。
カオハガン石窯のパン。

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ちょうど夕食時になったので、焼きあがったパンも一緒に出してもらい、みなさんに食べていただいた。
皮が本当に薄く、ぱりっと焼けていて、中はふんわりもっちり。
正直、驚くぐらいのいい焼き上がりだった。
これが石窯の力なのね。
今まで自分が焼いてきたパンとは、全く違った焼き上がり。
こんなパン、焼いてみたかった。
とても、うれしい。

カオハガン14.jpg

甘い物好きの崎山さんは、うれしそうに食べてくださって、人数分より多く焼いてお皿に残っているあんぱんを見つけ、『もうひとつ、いただいてもいいですか?』。
そんなふうに食べていただけるなんて、うれしい。
フォカッチャの塩加減も、みなさん気に入ってくださった。

朗は、ボゾのパンがなくなっちゃう、と心配して、自分のパンをボゾに分けてやっていた。
結局、ボゾは火入れから最後の焼き上がりまで、ずっと石窯の前で番をしていてくれた。
今日いちばんの働き者は、パン好きのボゾだったのでした。


~南の島でパンを焼く その⑥へ続く



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コメント 4

ちびxちび

うわぁぁ、美味しそうです!!
いただいてみたい。。。

ボゾ、かわいいですねー。パンの番犬♪
by ちびxちび (2009-10-23 17:15) 

ぱおん

>ちび×ちびさん
パン好きの犬に出会ったのは初めてで・・・始まるときから石窯の前にやってきて、終わるまでずっと番をしてくれていたのです。
人も犬もみんなで石窯を囲んで、パンが焼けるのを待つ・・・楽しい時間でした。
by ぱおん (2009-10-25 01:22) 

mei

美味しく焼けたのですね~♪
それに、優しい息子さんですね。
ボゾもうれしかったでしょうね。
by mei (2009-10-30 14:01) 

ぱおん

>meiさん
ボゾは、なかなかハンサムで、パン屋さんのコック帽なんかも似合いそうな顔をしているんですよ(笑)。
by ぱおん (2009-11-01 23:55) 

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