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南の島でパンを焼く@2009 その⑦ [旅 カオハガン島]

朝3時半。
懐中電灯を片手に、真っ暗な小道を歩いて村へ向かう。
どの家も静まりかえっていて、さすがにみんな眠っているよう。

真っ暗な中、ランダさんの家の近くに、小さな小さな明かりが見えた。
『マーヨンブンタグ(おはよう)』と、開いている柵の間から入っていくと、家の前で、ランダさんが、すでにシャーコイを揚げ始めていた。
手作りのランプの小さな灯りと、よく燃えている薪。

カオハガン19.jpg

ランダさんの動きはとても効率的で、無駄がない。
揚がったシャーコイをボウルで油受けをしたザルに上げていく。
次に、昨晩から発酵させてあった生地をボウルに入れて運んできて、ひとつずつ軽く伸ばしてひとまわりずつ大きくしながら、10個ずつ大きな中華鍋の油の中へ入れる。
揚がるのを待つ間に、先程揚がったシャーコイを、新聞紙を敷いたかごの中に、きれいに入れていく。
そのうちにシャーコイが色づいてくるので、トングでひっくり返す。
反対の面が揚がる間に、部屋の中から次の生地を運んできたり、油受けにたまった油を中華鍋に戻したり。
そうして両面いい色になったシャーコイをザルに上げる。
・・・これを129個分繰り返す。

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すんなりランダさんの作業に入って、特に指示されないけれど、とまどうことなくふたり作業が進んでいく。
なんだろう、不思議なくらい心地いい。

ココナッツフィリングのシャーコイが終わると、あんこ入りシャーコイ、そしてツイスト形シャーコイと揚げていく。

カオハガン21.jpg

ランダさんはうれしそうにあんこ入りシャーコイを見せてくれる。
日本ではこういうドーナツはいくらで売っているのか?と聞かれ、だいたい100円とすると、1peso=¥2で換算して、『50peso!』と答えると、『じゃあこのJapaneseシャーコイは50pesoで売ろう!』とランダさん。
・・・2人で顔を見合わせて笑う。
だって、シャーコイは1個5pesoで売っているのだ。
50pesoのシャーコイなんて、高すぎてみんなびっくりして買わないよ!
こう見えて、ランダさんは時々こういう冗談を言うんだなあ、もう(笑)。

129個揚げあがると、5時を過ぎていた。
ひと休みして寝るの?と聞くと、『No!』。
椰子の木の葉の葉脈で作ったほうきで、家のまわりの掃除を始めるランダさん。

カオハガンはきれいな島だ。
毎朝早くから、島民たちがこのほうきを持って、海岸や村や島のあちこちを掃除しているから。
カオハガンは木が多く茂っているので、夜のうちに落ちた木の葉っぱを掃いているのだ。
朝は、島中、ほうきを掃くざっざっという音がしていて、気持ちがいい。
みんな片手にほうきを持って、もう片方の手は、腰の上に乗せた姿勢で掃いているのがおもしろい。
私も、ほうきを借りて、ランダさんの家のまわりを掃いてみた。
よくできたほうきで、砂は集まらず、木の葉っぱだけがちゃんと集められる。
片手を腰に乗せて、いい気分で掃除していると、朗と陽が走ってやってきた。
『起きたらおかーさんがいなかったから、ランダさんのとこだと思って来たの!』と、ふたりでロッジからここまでやってきたらしい。
カオハガンでは、みんなが名前を覚えてくれて、どこを歩いていても呼びかけて手を振ってくれたりするから平気だよと、どこへでも自分たちで行けるようになった子供たち。
シャーコイを買いに来る島民が多くなってきたので、掃除は終了。

ランダさんの家の柵の外側にソファーを置き、その上にシャーコイの入ったかごが並んでいる。

カオハガン23.jpg

カオハガン6.jpg

島民が買いに来ると、欲しい数を聞いてから、ひとつずつシャーコイにグラニュー糖をまぶしてビニール袋に入れて渡す。
朗も陽もこれがやりたくてたまらない。
だって、本物のパン屋さんだもの!
交代で、お客さんに数を聞いて、袋に入れて、『サラマット!(ありがとう!)』と言いながら手渡して、さながら気分はもうパン屋さん♪
しっかり働いてくれました。

ランダさんは、そんな子供たちにひとつずつシャーコイを渡してくれた。
おいしい、おいしいと、朗も陽もうれしそう。
私にもひとつくれたので食べてみると、やっぱり昨年のシャーコイよりやわらかくておいしい。
シャーコイも進化しているんだな・・・。

カオハガン26.jpg

ランダさんは、Japaneseシャーコイをみんなに勧めてくれる。
そのおかげで、あっという間に売り切れに。
味のほうは、どうだろう。
みんな気に入ってくれるかな。
ランダさんはあんこの作り方を知りたいらしく、豆と砂糖で煮るだけだと教えると、それならできる、と言っていた。

カオハガン24.jpg

カオハガン25.jpg


そろそろ、朝食の時間。
ランダにお礼を言うと、今晩もまたシャーコイをつくるからね、と言われる。
そう言われたら、もちろん、また来ますとも、師匠!

なくなる前に、あわてて崎山さん用に買ったアンドーナツを入れた袋をさげて、母屋の朝食に向かいました。


~南の島でパンを焼く@2009 その⑧に続く





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コメント 2

mei

Japaneseシャーコイ、ぜーったいに美味しいですね。
それにしてもランダさん、働き者ですね!
by mei (2009-10-30 14:13) 

ぱおん

>meiさん
おいしかったです。
ココナッツミルクで仕込んだ生地に、あんこを包んで揚げる・・・思い出すとまた食べたくなります、カオハガンで。

by ぱおん (2009-11-01 23:58) 

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