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南の島でパンを焼く@2009 その⑨ [旅 カオハガン島]

夕食後、急に大雨になった。
母屋のテーブル近くまで降り込んでくるぐらいの雨。
昼間たっぷり遊んでくたくたの子供たちは、すでにソファで気持ちよさそうに眠っている。

オットが見ていてくれる今のうちに、と、傘を借りて、ランダさんの家へ向かう。
この大雨、さすがに今晩はカラオケの音はしてこない。
今日はみんな家の中で過ごしているよう。

着いたときには、ランダさんはすでにツイスト形のシャーコイを作っているところだった。
ココナッツ入りのシャーコイはもう終わったようで、きれいにテーブルに並んでいる。
ランダさんがうれしそうに指差す方を見ると、平らで丸く成型されたJapaneseシャーコイ、アンドーナツも並んでいる。
『ランダさん、作ってくれたの?』とびっくり。
ランダさんは、アンドーナツをとても気に入ったらしく、昨晩の残りのあんこを使って成型したのだという。
でも、あんこはこれでもうなくなっちゃったらしい。
また、お豆と砂糖と水で・・・と作り方を説明しておいた。

成型が終わり、『じゃあ、また明日の朝3時半ね』と、ランダさんの家を後にして、暗い道をロッジへ向かった。

zzzzz~♪

まだ真っ暗な3時半。
眠いけれど、きょうもまたランダさんとシャーコイを作れるのかと思うとうれしい。

やはりランダさんは私よりずっと早起きで、もうシャーコイを揚げ始めていた。
真っ暗な中、静かにふたりで作業する。
一緒に作業するときの、呼吸の合う動きって、心地いいなあ、と思う。

カオハガン6.jpg

全部揚げ終わって、片付けも済んだ頃、また大雨になった。
雨に濡れないように軒下にイスを並べて座り、ふたりでぼんやり雨をながめながら、いろんな話をした。
ランダさんはいつになくよくしゃべって、冗談を言って笑っていた。
こんなによくしゃべるランダさんは、始めてかも。
ビサヤ語と英語と日本語とをおりまぜながら。
私はビサヤ語がほとんどわからないけれど、なぜだかランダさんの言っていることはわかる。
不思議で、楽しい。

ランダさんが立ち上がり、私にココナッツのシャーコイを渡し、自分はアンドーナツを持ち、食べようと言う。
私は日本のシャーコイ、あなたはフィリピンのシャーコイ! と何度も繰り返し、うれしそうに笑う。
並んで一緒にシャーコイを食べた。
とても、とても、うれしかった。

『マーヨンブンタグ!』と声がした。
振り向くと、オギさんだった。
今日はセブで用事があるそうで、早朝の船に乗って海を渡っていくとのこと。
船を出してくれるスタッフや、今朝一緒の船に乗ってセブから日本に帰るお客さんと船の上で食べようと思って、とシャーコイをたくさん買ってくれる。
まだ時間があるから、とソファに座って、ランダさんも一緒に話をする。
オギさんは何度もカオハガンを訪れているし、今年の4月からもう半年は住んでいるのだけれど、『ここがパン屋さんだったなんて、全然知らなかったよ。』
やっぱり、超早朝開店のパン屋さんだから、見かけることがなかった様。
だから、ランダさんはもうパンを焼いていないと思われていたんだなあ。
島に着いた日、そう聞いて悲しくなったのが、ずいぶん前のように思える。

『そうそう、壊れたオーブン見せて。』と、オギさんがランダさんに言う。
昨日、ランダさんのオーブンが壊れて今はパンが焼けないという話をオギさんに話すと、じゃあ時間のあるときに見てあげるよ、と言ってくださっていたのだ。

高床式の家の床下に、オーブンは、いた。
昨年一緒に焼いた、カオハガン・オーブン!
ひとかかえもありそうな大きな陶器のお鍋のような形で、まわりをワイヤーでしっかり巻いて補強してある。
あれこれ点検して、どうやらワイヤーが切れてしまっているみたいだ、とオギさんが言った。
『じゃあ、明るいときにまた来て、直してあげるよ。』とオギさんが言ってくれた。
ありがとうございます!
よかった。
これで、また、ランダさんのパンが焼ける。

明るくなった頃、朗がひとりでやって来た。
『今日も起きたらおかーさんいなかったから、ぜーったいランダさんのとこだと思った!』と。
ランダさんは、朗にシャーコイをひとつ渡してくれる。
並んでシャーコイを食べる。
これが朝のいつもの風景。

カオハガン39.jpg
  朝食の用意をするランダさん


~南の島でパンを焼く@2009 その⑩に続く



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